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「待ってるって…」

ユキにはさっぱりわからなかった。

「もしかして?」

 

数日後、ユキはリサのお墓に行った。

そして、墓石に話しかけた。

「…待ってるって、どういう意味?」

そして、ちらっと手帳をみた。ユキは、ぎょっとした。

『まだ、未練があるの。たくさん。だからユキに、やってほしいの。』

いつのまにか、手帳の1ページ目の下のほうに、こう書かれていたのだ。

ユキはまた、墓石に話しかけた。

「何をやってほしいの?できることなら、ていうか、できなくてもやってあげる」

また、字が──間違いなく、リサの筆跡だ──書いてあった。

『やってほしいことが、たくさんあるの。とりあえず、死者の国まできてよ』

なんてことだ。でも、やるしかない。

「えっ、どうやっていくの?痛いのは嫌だからね。」

『痛くないよ。手帳を絶対に放さないでね。ユキは握力が28だもんね、大丈夫だと思うよ。』

ユキは、言われたとおりに、ぎゅっと手帳を両手にもった。

「準備、OK!!」

 

すると、手帳が何かに引っ張られるような感じがした。

ユキは、あやうく手帳を手から放しそうになった。でも、大丈夫。

まだ、手帳は手の中にある。

今度は、自分ごと引っ張られていくような感じがした。

『抵抗しちゃだめ、この力に身を任せて…』

リサの声が聞こえる。頭の中に響くような感じだ。

きっと、この声は耳から入ってきた音じゃないな、と思った。

いきなり、ビューンと音がして、ユキと手帳は、地面に落ちた。

『ようこそ。来てくれたんだね。』

リサが笑顔で迎える。

 

辺りは真っ暗で、空気さえ黒く染まってしまったように見える。

不思議と、リサだけは良く見える。

周りには、生気の無い人間のようなものがうろうろしていた。

 

そう、ここは、死者の国だった。

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